タイトル(英)
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Records of Asiatik black bear (Ursus thibetanus japonicus) in Toyama City, Toyama Prefecture, during the year 2018
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アイテムタイプ |
紀要論文 / Departmental Bulletin Paper |
言語 |
日本語 |
著者 |
南部 久男
/ ナンブ ヒサオ
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CiNii ID:
9000003675421
,
科研費研究者番号:
20373483
)
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著者(英) |
Hisao Nambu
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CiNii ID:
9000003675421
,
科研費研究者番号:
20373483
)
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抄録 |
2018年の富山市のツキノワグマの出没状況を報告した.富山市全体で30メッシュ(1メッシュは約1 km×1 km)37件の出没(実質件数)があった.このうち4~8月には22メッシュ25件,9~10月には11メッシュ12件であった.
秋の出没件数は春・夏より少なく,2005年以降の調査で2007年と同程度の出没が少ない年であった.
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内容記述(検索用) |
1.はじめに
富山市におけるツキノワグマの各年の出没状況は,本種の長期にわたる出没動向を知るための基礎資料となると思われることから,2005年から毎年富山市の出没記録について報告してきた(南部,2007~2018).本稿では2018年の富山市におけるツキノワグマの出没状況を報告する.
2.方法
富山市の2017年のクマ出没情報は,富山市農地林務課からデータの提供を受けた.データは2018年の1~12月の出没情報をまとめ,項目等は南部(2007)にしたがった.また,出没場所のメッシュは環境庁(1997)の地図を用いた.また,採用したデータは付表1の判定Aを用い,基準は南部(2007)による.
3.結果及び考察
3.1 2018年の富山市のクマの出没状況(表1~6,図1~3,付表1)
2018年の出没状況は,富山市全体で30メッシュ(1メッシュは約1 km × 1 km),37件の出没(実質件数)があった(表1).地域別では,大山地域が11件(実質件数)と最も多く,次いで八尾地域の9件であった.大沢野地域は8件,婦中地域6件,細入地域2件,富山地域1件で山田地域では出没がなかった(表1).出没メッシュ数も大山地域が8メッシュと最も多く,八尾地域7メッシュ,大沢野,婦中地域はそれぞれ6メッシュで,細入地域は2メッシュ,富山地域は1メッシュであった.
出没があった月は,富山市全体で4~12月上旬であった(表2,付表1).出没の多い月は,6月(11メッシュ,11件)と7月(8メッシュ,8件)であった(表2).春・夏(4~8月)は,22メッシュ,25件,秋(9~12月)は11メッシュ,12件と,春・夏の方が秋よりメッシュ数,件数とも多かった(表4).
地域別,季節別の出没では(表5),春・夏(4~8月)は,八尾地域で最も多い7件で,次いで大山地域の6件,婦中5件,大沢野4件,細入2件,富山1件であった.秋(9~10月)は,富山,婦中,細入地域では出没が見られず,大山地域で5件,大沢野地域で4件,八尾地域で2件であった.
出没は標高31~590 mの範囲で見られた(付表1,表6).4~8月は31~391 mの範囲で出没が見られ,101~200 mの範囲で出没が多かった(表6).9~10月は62~590 mの範囲で出没が見られ,101~200 mの範囲で出没が多かった.
富山県自然保護課(2018b)の「 堅果類(ドングリ)の豊凶調査の概要について」によれば,2018年秋は,ブナは富山市内の調査地点の有峰3ヶ所で豊作,大長谷で不作,ミズナラは有峰4ヶ所のうち1ヶ所で並作,3ヶ所で不作,桧峠で並作,牛岳で豊作,大長谷で並作,コナラは猿倉で並作と報告され,いずれの堅果類も着果状況が最も悪いカテゴリーの凶作はなく,エサとなる堅果類の成り具合は適度であったと思われ,これが富山市で秋のクマの出没が少なかった要因と考えられる.
3.2 2005~2017年の富山市の出没状況との比較
2018年の富山市のクマの出没状況を2005~2017年(南部,2007~2018)と比較する.2018年の春・夏(4~8月まで)の出没状況は30メッシュ,37件である.出没メッシュ数は最も多かった2008年(50メッシュ)と最も少なかった2005年(11メッシュ)のおおよそ中間の値を示した.2018年の秋(9~12月)の出没状況は11メッシュ,12件である.秋の出没は,大量出没年の2006年と2014年(それぞれの年で100メッシュ,300件を越す)よりもかなり少なく,比較的出没が多かった2014年(50メッシュ,100件を越す)よりもかなり少なく,2007年(10メッシュ台,10件台)と同程度の出没であり,2018年秋の出没はかなり少なかったと言える.
3.3 2018秋の富山県の出没状況
富山県自然保護課(2018)の「H30堅果類(ドングリ)の豊凶調査の概要について」によれば, 全県でブナ(15箇所)は並作,ミズナラ(16箇所)は 県東部で不作,県西部で並作,全県で並作,コナラ(10箇所)は県東部で不作,県西部で並作,全県で不作とされ,クマが大量出没した年(H18,H22)と比較すると着果状況は,良い傾向を示すとされる.富山県自然保護課(2019)によれば,2018年のクマの出没は全県で149件あり,1~8月は119件,9~12月は30件と秋の出没が少なく,2018年秋のクマの出没は,堅果類の豊凶調査の結果を反映していると思われる.
4.謝辞
クマの出没状況を提供いただいた富山市農地林務課に御礼申し上げる.
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雑誌名 |
富山市科学博物館研究報告
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雑誌名(英)
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Bulletin of the Toyama Science Museum
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号 |
43 |
ページ |
101 - 108
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発行年 |
2019-07-01 |
出版者 |
富山市科学博物館
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ISSN |
1882-384X
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NII書誌ID(NCID) |
AA12306127
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NII論文ID(NAID) |
120006652085
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著者版フラグ |
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大見出し |
資料
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大見出し(英)
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